かっちゃん「ちゃんと殺したけ?」
私「えぇ?!」
妻「ごめんなさい許して!うちの人何にも知らんから…」
恐ろしい会話だった。
呉羽にある妻の実家から骨董品(?)を運ぶために、「かっちゃん」にトラックを出してもらい手伝ってもらった時のことだった。
荷台にあるものを固定するためにロープを使ってフックにロープを引っかけるのに私は、ただ引っかけただけだった。
どうもそんな時は、ほどけないように、しっかりと締めあげることを「殺す」と言うらしい。
妻も、ちゃんと知っていたが、世間知らずの私は初めてのことで、びっくりしたのだった。
大きな瓶掛け(火鉢)を持ってきたのだが、新しい家の二階に上げるのが大変だった。
ちょうど近所の、暇な?男性二人も講釈をたれながら助言を受けて何とか二階に上げることができた。
とっても重く、階段は大変だった。
3時頃、一通りの作業が終わったのだが近所の二人は「家の中を見たい」と言うことで案内。
肝心の「かっちゃん」が帰ると言うのに満足に相手もできずに失礼してしまった。
妻は日が暮れないうちに畑に行きたいと言って行ってしまうし、私は暇な近所の人に「お茶」を出して相手をしなければならないはめに…。
みんなが去ったあと、一気に虚脱感に襲われる。
情けないが腰も痛めてしまったようだ。
猫がオシッコをかけてしまって緑青が出ており、どうでもいいような「瓶掛け」だったが、これは私の家の工場で造ったもので、そう数多く生産できない一番大きなサイズな物だった。
30数年前、義父が是非欲しいと言うので当時「35万円」で分けてあげたのだった。
彫金もしてあり、銀細工、けやきの台などで、なかなか手に入らないものだった。
火を入れることはないだろうが自分の生きてきた証みたいな物だから大事にしていきたいものだと思っているのだった。