子供の頃の正月は、童謡の唄のとおりに凧を上げて、コマを回して遊んだ。
お寺の境内に集まってコマを回しながら、そのうちにぶっつけ合う。
凧は女子高のグランドに行ってあげた。
風のない時は凧を引っ張って一生懸命に走る。
ゴム紐を撒くプロペラの紙飛行機もよく飛ばしたっけ。
材料が入った紙袋を買ってきて自分で作るから、飛び具合は各々の腕次第だ。
雪が降っていれば竹スキーで遊ぶのが一番楽しかった。
その中でも、ミカン箱に取り付けて「ソリ」にして遊ぶのが最高。
紐をつけて雪道を兄たちに引っ張ってもらうのだが、きまってほどほどのところでひっくり返され泣かされるのだった。
お寺の屋根の雪がずり落ちてきたら、ちょうど竹スキーをするには最高。
スキーと言っても八百屋で買って来た竹スキーだから、ストックと言うものもなく長靴を履いて、せいぜい紐をつけてそれを両手でつかみバランスをとる程度。
中には、よいこのおぼっちゃまは本格的なスキーでスキー靴を履いて滑っていて得意になっていた。
町内でもクラスでも、そんな子はわずか…。
殆どの子がボロズボンを履き、まだ黒足袋を履いていた頃だ。
坂道が凍ると、今度はスケート。
これも竹で作ったスケートだ。
今みたいに車なんてめったに通らないから三角広場の坂道はいい遊び場だった。
その三角広場には除雪(と言っても今みたいな除雪車はない)した雪が山になっていて、そこが「かまくら」を作るにはもってこいの場所。
かなりの規模の「かまくら」を作った、と言うより掘ったと思う。
みんなでそこで漫画を読んだりして遊ぶのだった。
そんなふうに子供の頃の「お正月」はとっても楽しいものだった。