子供の時は正月が楽しかった。
何といっても「お年玉」が一番魅力的だった。
実家は自営業だったせいもあり元旦早々、来客が多かった。
それとなく玄関先の茶の間にいると、お客さんが愛想してくれて「お年玉」をくださった。
ついその味を覚えて、お客さんが来たら顔を出すようになってしまった。
中には「お年玉」を出さない人もいて思わず「ケチ!」と思ったものだった。
親戚も多かったので、かなりのお金がこの正月に懐に入ってきた。
それをもって当時唯一のデパート「大和」に行くのだった。
エレベーターガールをいうきれいな女の人が、憧れみたいなもので何度も乗ったりした。
今ではごく自然にセルフでエレベーターを動かしているのが当時から見れば、とんでもないことだ。
デパートもオタヤ通りも人でいっぱいで賑わっていた。
それが今ではイオンに吸い取られてしまっていて街の中は全く人通りがなくなってしまっている。
商店街の福引というものも賑やかだった。
朝早くお宮さんの太鼓と共にでかけた。
兄と福引券を分け合ってくじを引いた。
兄がなんと2等を当てて、鐘が賑やかに鳴った。
景品は丸いテーブルだった。
真ん中にコンロが入るようになっていた。
当時はまだ炭のコンロなんか使って煮炊きしていたのでとっても好都合で
このテーブルは長く我が家の食卓になっていた。
思い返せば次から次と昔の正月のことが浮かんでくる。
いとこたちが来て、トランプやすごろくをして遊んだのも楽しかった!
とにかく正月は楽しくって楽しくってならなかったのだった。