何だか外が賑やかだと思ったら川の土手の草刈りが行われていた。
何気なく見ていたらフェンスの向こう側にいる人の様子がおかしい。
かなりの時間、その場でしゃがみ込み何かもたもたしている。
そのうちに長靴を抜き出し、素足をネットにかけたりしたのでようやく事情がわかった。
すぐ外に飛び出して「待っとられ、今すぐ脚立を持ってくるから!」と声をかけた。
私よりもずっと年上の「じっちゃん」だった。
フェンスを越え、土手川に行ったものの、道路側に戻ろうとしたがどうやらフェンスが高く越えられないようだった。
以前の容易に乗り越えられたのだが新しくなったフェンスはちょっとのことで高く、網の目も細かいので足がかかりにくく土手側からは、なかなか戻れなくなった。
「年寄りで体力がないもんで…」と、その「じいちゃん」は頭を下げながら苦笑いしていた。
あぁ、なんてことだ!
こんな「じいちゃん」が汗かいて仕事をしているのに、私はパジャマ姿のまま、のんびりと珈琲なんか飲んでいたりして…。
作業している人は、ほとんどが高齢者のようだった。
中には顔の黒い、あきらかにこっちの人でない人も見られた。
川の土手は傾斜もあり大変な作業だ。
一つ間違えば川に転落する危険性もある。
見ていて、軟弱者のには間違ってもこの仕事はできはしないなぁと思ったのだった。