妻が夢の中で亡き両親を見たと言う。
「怒っていたか?」
そう聞くと、意外やにこやかな表情で、居間で一緒に談笑していたとのことだった。
私も実は夢を見ていた。
どうも気がかりだったのだ。
祖父の代からの屋敷を、こんな簡単に壊してもいいものだろうかと。
早速、解体作業がどうなっているのか気になって出かける。
遠くからでも屋根の瓦が、はがされているのが確認できた。
まだ建物は崩れてはいなかった。
壁がはがされていた。
瓦は数年前に吹き替えたものだから、きれいな状態だった。
しかし再利用にはならないようだった。
玄関の松、梅、ヒバなどが切られ、横たわっていたのが哀れだった。
仏間のあったところに、お供え物をして手を合わせる。