柿を食べようとして果物ナイフを持ったのはよかったのだが…。
ちょっと刃先によごれがあったので拭こうとして何故か指先を切ってしまった。
前日には妻が柿を採っていてハサミで指を切っている。
自分のは大したことはないのだが、妻のはかなりの出血もあって大変だった。
きょうは、そんな妻をいたわって率先して台所に立った挙句のアクシデントだった。
「何だろう?二人して指を切るなんて…。」
ハッとして妻と顔を合わせて、なぜか台所に飾ってある「おじさん」の写真を見るのだった。
若きして交通事故に見せかけられて町の有力者の手先により非業の最期を遂げた妻の父の弟。(述べれば長くもなり…、開発土地の権力がらみ、証拠もなし)
このおじさんが亡くなった日の朝、おじさんは庭の柿を一個、むしって仕事に出かけたのが最後の姿とか。
先日の命日も、うっかり忘れてしまっていた。
「おじさん、ごめん!」
すぐに遺影に柿を供えたのだった。