古城公園で三日三晩、万葉集を詠うイベントが行われている。
何故か、この時期に年一回だけ会ってお互いの無事を確かめる人がいる。
勤めていた会社の同僚というか先輩の栄子さんだ。
とにかく頭が良く、動くコンピューターみたいな人で取引先のこと納入品の在庫のことなどが瞬時に出てくる人で、そして物事に厳しく、みんなから「お局さん」と恐れられていた人だ。
それが60歳になった日に突然退社してしまった。
本人はずっと決めていたようだが、あまりにもあっさりと辞めるのでびっくりしてしまった。
在職中は正直、いろいろぶつかったこともあり「この女!」とさえ思ったものだ。
たくさんいた諸先輩、同僚たちも、次々と亡くなっていき今では彼女とだけが何とか繋がっている。
その彼女が、きょうは私の顔を見るなり飛んできた。
いろいろ話したいことが山にあったようで「来るのを待っていた!」と言う。
なんと千葉にいた息子さんが昨年の11月に亡くなったとのことだった。
突然に倒れたらしく入院先の関係者が携帯の電話番号から連絡して来たそうだ。
なんと虫歯の菌が全身に回り、あっけなく一週間で亡くなってしまった。
話す彼女の目からは涙が流れてきて、こっちももらい泣き…。
しばらくは立ち直れなかったとのこと。
なんと人の命のはかないこと…。
離れた会社の話も話題になり、現在は別の会社に吸収され名前も替わってしまったらしい。
ちょっと前にいた会社なのに、もうずっと昔のことになってしまった…。
私の兄の死のことも知っており、「歳をいくと、だんだんといいことがなくなってくるわね…」
来年も、ここで会うと思うが、どんなことが話題になるのだろうか。
孫が次から次とできたと言う明るいニュースにしたいと思ってる。