滅多に行かない二階の座敷に型通り「天神様」を飾る。
つい酒のほうを上座にしてしまった…。
子供の頃の「天神様」は、もっと威厳があった。
古びいた掛け軸の天神様と青い布のひな壇に飾った唐津の天神様があった。
暮れの買い物で集めた「福引券」を天神様に託して、正月は近くの有磯神社の太鼓が鳴るのを待って、福引に走ったものだった。
福引の場所は日ごろは自転車屋さんの店だ。
朝早くから、たくさんの人でごったがえしていた。
今では見られない地域の賑わい、ほんとうに懐かしく思う。
人々が自家用車を持つようになり「ダイエー」が建ち、「丸大」「サティ」「イオン」が建ち、郊外へと買い物に出かけるようになって世の中が狂ってしまった。
昔の実家の回りには生活に必要な店がほとんど揃っていて車で出かける必要などはなかったのだった。
神社、寺、交番、バス停、おもちゃ屋、八百屋、肉屋、魚屋、銀行、郵便局、葬儀屋、自転車屋、和菓子屋、たばこ屋、お茶屋、帽子屋、洋服屋、駄菓子屋、お餅屋、酒屋、消防署、かば焼き屋、しょうゆ酢屋、床屋、風呂屋、…まだまだありそう。
半径200メートルくらいに、これだけの店があったのだ。
それも現金無しで買い物をしていたように思う。
通い帳なるのものがあり支払いは極端なのは半年に一回払い。
みんなどこの誰だか、ちゃんと知っているのでわるいこともできない。
いい時代だったなぁ!