この頃、自慢だった昔の記憶がだんだんと薄らいでいくようだ…。
きょう午後より妻とスーパーに買い物に行ったら、なにやら見覚えある人を見つけた。
少し「おばちゃん」になったが間違いなく、あの子だ。
私が35歳で転職して入社したときに、すでにその子はいた。
見た目は普通の女の子だが、しゃべると障害がある人だとわかる。
足も少し不自由だったと思う。
まだ若く、笑顔が可愛かった。
しばらくして縁談がまとまり、みんなに挨拶して退社していったのだった。
それからは、どうしているのか全く会うこともなく、知ることもなくいたのだった。
30年前ほどのことだから、少なくても50歳にはなっているのだろう…。
声をかけよう、かけようと思いながら、何故かかけれなかった。
あっちも私には気がつかないようだったし。
いや、私がじっと見つめていたら、一瞬あっちもしばらく私のほうを見ていたから気が付いたのかもしれない。
愛想のある表情で買い物をしていた。
幸せな家庭なのだろうか?
だんなさんと、うまくいっているのだろうか?
子供はいるのだろうか?
つい、いらぬおせっかいをしてしまいそうだ。
若く元気だった頃の思い出が、ずっと大昔のできごとのように思えてくる。
随分と私も齢をとったのだなぁ…、と彼女を、はたから見ながら名前さえ思いだせない自分を情けなくも思うのだった。