いい天気だし、「蜃気楼」の出る確率も高いのでは…。
そう思って出かけたのだった。
しかし、やっぱり魚津までは遠い。
滑川で望遠鏡を使って「蜃気楼」を見ている人がいたので見せてもらった。
埋没林館に焦点が当てられていたのだが、説明を受けてもピンと来なかった。
何やらブヨンブヨンとしていたが、それが「蜃気楼」で建物が伸びているのだと…。
もっと肉眼でもわかるような「蜃気楼」が見たい!
「そんなら、やっぱり魚津の漁港周辺にいかれ!」
そう言われて足を延ばしたのだが途中の「米騒動」のあった場所で一服してしまった。
昼食も兼ねて、すっかり長居してしまったのだった。
もう帰ろうかとも思ったが「目の前だ」と、またまた通りがかりの人に言われる。
どうも、この人「蜃気楼」を見て来た帰りみたかった。
「たくさんカメラを構えた人達で、賑わってすごかった!」とのこと。
こんなところで長居していなかったら、きっと肉眼でも見れたのだろう。
2:30頃に着いたのだが、肝心の大砲を海に向けていたカメラマン達も背中を向けていて、なごやかに仲間と談笑していた。
海の駅「蜃気楼」でコーヒーを飲みながら、3時を過ぎてしまったので帰りのことが気になってしまう。
このままでは家に着くのは6:30頃だろうか…。
何やら「人間の条件」の主人公「梶」の気分になってきた。
収容所を脱走してきて満州の荒野をさまよう梶の姿。
愛妻「三千子」の面影だけが救いだった。
「三千子!三千子!」
私なら「ケイコ!ケイコ!」なのだが、返ってくる言葉はなさそうだった。
何とか予定通りに6:30に家にたどり着き、ホッとしたのだった。