チンドンを見に行くために二日間、電車に乗った。
なかなかローカル電車の旅もおもしろいものだ。
城端線は気動車で車両も古しいが南砺の田園地帯を走るにはふさわしいかもしれない。
この城端線で高岡駅まで来て乗り換えるのだが過去に何度も失敗している。
車内案内で乗り換えのホーム案内はしているはずだが騒音がひどく耳の遠い私には全く聞き取れない。
電車を降りて階段を上がっていくと3番ホームに電車が停まっているので当然、それがつなぎの電車だと思って乗り込んだのだが、定刻になっても発車せず運転手に聞くと、「これは後続の電車で定刻のは今隣のホームから出ましたよ!」と言う。
それはないだろう…。
どうりで誰も乗り込んでこないのだった。
二回目は、そんな失敗はしないぞと5番ホームに行った。
確かにたくさんの人がホームに待っているし「富山行き」って書いてあるから間違いないと思って列についていたのだが、ふと3番ホームを見ると、いつの間にやら電車が入っていた。
それもよく見ると「泊まり行」と書いてある。
あら、やっぱり3番ホームなのかと駆け足で階段を上って、やれやれと車両に乗り込むと、またもや誰も乗っていない。
それどころかさっきまでいた5番ホームに電車が滑り込んできて「富山行きが間もなく発車します!」と言っているので大慌て。
息を切らして階段を下りてきて車両に発射寸前に滑り込む。
この時は小杉駅あたりまで心臓が苦しかった。
今回こそ、こんな馬鹿はしないぞと思っていたのだが…。
今回は階段を上がったときに改札口の発車案内を確認して3番ホームに降りた。
車両がすでに止まっていたのだが、いつもの後のだと思って、たくさんの人が列をついている4番ホームにつながってしまった。
これがなんと「金沢行き」だった。
車両が滑り込んできて初めて気が付いたのだった。
恥ずかしいから、その電車を撮りたかったのだという素振りをしてカメラを構えてから正規の「富山行き」に乗った。
せめて車両の横のどこかに、はっきりと「富山行き」とでも書いてあればいいものを。乗り込んでからも、やっぱり初老の夫婦が確信できないのか人に「富山行ですか?」と尋ねていた。
自分だけではないのだと安心した。
さて発車んメロディが流れ、アナウンスの「まもなく富山行きが発車します」と言っているころ、5番ホームに若いカップルの姿が…。
どうやら間違いに気が付いたのやら必死になって走り出し階段を上っていく姿が見られた。
果たして間に合うのか…。ドキドキしてみていたら何とか間に合い、こっちの車両に入ってきた。
それも私のすぐ横に…。
「よかったね!間に合って」
それがどうも日本人ではないもよう。
あの鼻に抜けるような気怠い、のんびりとした発音。
タイ?ベトナム?…、とにかく中国人ではなさそう。
これが富山まで行く間、延々と甘ったるい男の声と、それをなだめるかのような女のせつなさそうな会話。
もう私のことなんか存在さえも見えないのか、べったりと顔をくっつけ合い、どこかの映画のシーンみたい。
何をしゃべっているのかわかれば、おもしろいのだがさっぱり。
よっぽど「ラブラブ!」ってからかってやろうかと思うくらいだった。
ここで思ったのは、最近こんな地方でも結構外人が多いということで、それに対応する心構えも必要ではないかということ。
日常会話ができる程度の英語を身につけねばならないと思った。
「どこの国から来た?」「どこに行きたい?」
いわゆる5つのW。when(いつ)、where(どこで)、who(誰が)、what(何を)、why(なぜ)、how(どのようにして)
これっくらい、しゃべれなくっては…、と思うのだが、果たして…。