人生とは、はかないものだ。
この家にも賑やかな時もあった。
30年前ほどに義父が風呂で亡くなり、ずっと義母が独りで暮らしていた。
そして義母も一昨年亡くなって、とうとう誰もいなくなってしまった。
きょう、この家の取り壊しが始まった。
解体業者が我が家を取り壊した同じ会社なので、久しぶりに会う若い衆に「久しぶり!」と声をかけると「え?、どうして?」。
「妻の実家!」
「こんな大きなしっかりとした家、もったいない!」
壊す人も、そう言う。
もったいないと言っても誰も入ろうとしないのだから仕方がない。
町内からも不用心だから何とかしてくれと言われれば壊すしかないとの結論。
一週間では壊せないそうだ。