思いもしない、良い天気に妻は、じっとしていない。
我が家の整理さえ、まだ半端なのに実家の庭を整理したいとのこと。
実は近じか家を解体して更地にする予定だ。
庭にある花などがショベルカーなどに荒らされる可能性があるので移し替えようとのこと。
妻はスコップにハサミなど持って長靴を履いて、すっかり土方の格好。
私は普段着のまま、そんなこと知るもんかと座敷に直行。
先日、もらってきた掛け軸の中に柳澤吉保の筆頭家老の家柄だったという柳澤淇園の桐箱があったのだが中身が違っていたので気にかかっていたのだ。
あの時、あわてていたのもあり、なにやら箱にも入っていない、薄きたなそうな掛け軸、数本を放置してきたのだった。
きょう、それを開いて見ると、なんとお目当ての淇園の物があった!
やはり箱に入っていなかったためか表具は少し傷んでいるが、画そのものは、さして損傷は見られない。
「何でも鑑定団」にも淇園の物が出て、高額な評価がされたことがある。
果たして本物かいかに?
あす、天気が良ければ虫干ししてみようと思う。
じっくり座り込んで、先日は見捨てた他の掛け軸にも目を通す。
そんなことをしていたら外から妻の怒鳴り声…。
急いで掛け軸をしまって写真を撮る間もなかった。
外に出ると、きょうは嫌に飛行機が何度も上空を飛んでいた。
そんな飛行機に目をやっていると、また妻の声が…。
持ちたくもないスコップを手にして、あっちに行ったりこっちに来たり…。
柚子が鈴なりになっていたので採っていたら手が血だらけになってしまった。
「そんなもん、とらんでもいいがに!」
そう言うが、やっぱりもったいなくって。
風呂に入れればいいのだが新しい家の風呂には入れられないのが残念。
柚子味噌がいいかな?
そんなことをしていたら近所の人が来て「分けて欲しい」と言われる。
なんと妻は豪快にスパッと枝ごと切って渡した。
「こうすりゃ、トゲで手を痛めることもないがに」
そう言って、こちょこちょ採っていた私を、あざ笑うかのように大きな、たくさん実を付けた枝を見せびらかせるのだった。
来年は、この柚子があるのか、どうか…、ちょっと今のところ想像がつかない。